相続相談
月刊不動産2022年11月号掲載
区画整理中の土地を相続した場合の土地の評価
税理士 若林昭子(コンパッソ税理士法人)
Q
A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。
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回答
ご質問の状況からみて、相続された土地については区画整理が完了していないものと思われます。この場合、以下の手順で評価していくことになります。
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1.区画整理の段階の確認
一般的に土地区画整理事業は次のような段階で進みます。
1 地元住民とのまちづくり案の検討
2 都市計画の決定
3 事業計画の決定
4 換地設計
5 仮換地※1の指定、使用・収益の停止
6 建築物等の移転または除却
7 工事
8 換地処分
9 換地処分に伴う登記
10 清算金の徴収および交付、減価補償金の交付まず初めに、自治体や土地区画整理組合等のホームページで、当該土地区画整理事業の概要を確認するとよいでしょう。
すなわち、事業開始日はいつか、仮換地の指定はなされているのか、仮換地における使用・収益の開始日の指定はなされているのか、区画整理事業の完了見込みはいつかなどを確認し、現在、事業がどの段階にあるのかを確認してください。できれば、自治体や土地区画整理組合等に直接出向いて、事業の進行状況について確認するとよいでしょう。※1 土地区画整理事業が行われる際、従前の宅地の代わりに使用できるよう提供される予定の土地のこと。
なお、事業が完了した場合は、そのまま換地となる。 -
2.相続した土地が具体的にどの段階にあるかの確認
ご質問の土地は、以前から現在まで倉庫用地として貸付けしているとのことですので、仮換地指定を受けているとしても、従前地※2であるものと思われます。
確認方法としては、「仮換地証明書」や「仮換地の使用・収益開始日の通知書」が手元に届いているかをお調べください。また、先ほど述べたように、直接、当該組合等にも確認してみてください。※2 土地区画整理事業が実施される前の土地のこと。
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3.仮換地指定の有無による評価原則の適用
仮換地指定がない場合は、従前地として評価することになります。
仮換地指定がある場合は、次のように評価します。① 次の②または③に該当しない場合、仮換地の土地を財産評価基本通達の価額により評価する。
② 工事完了まで1年を超える見込みの場合、仮換地の土地を財産評価基本通達の価額の9 5%で評価する。
③ 使用・収益開始日が未確定で、かつ、造成工事が行われていない場合、従前地として評価する。なお、ここで「評価する」というのは、当該従前地または仮換地を、路線価図または倍率表の区分に応じて評価することですが、その後、画地調整をすることになります。
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4.評価にあたっての留意事項