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中古物件の売主の瑕疵担保責任

弁護士 渡辺 晋
山下・渡辺法律事務所

質問

中古建物の売買契約における売主の瑕疵担保責任について、法律ではどのように定められているのか説明してください。

月刊不動産2004年11月号掲載
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回答


 民法上、売買契約の売主は、隠れた瑕疵の損害賠償責任を負い、瑕疵のために契約の目的を達成できないときは、買主に契約の解除権が生じます。
 この売主の損害賠償責任と買主の解除権については、原則として、法の定めと異なる特約が可能です(民法570条本文、566条1項)。
 しかし不動産の売買に関しては、宅建業法、商法、消費者契約法が、民法の原則に変更を加えています。これらの法律に基づき、売主が、宅建業者であるか、商法上の商人であるか、消費者契約法上の事業者であるかにより、それぞれ瑕疵担保責任に関する法的な制約が異なってきますので、以下に概要を整理します(なおこれら3つの概念は、宅建業者は商人に含まれ、商人は事業者に含まれるという関係(宅建業者<商人<事業者、という関係)に立ちます)。
1.売主が宅建業者の場合
(1)買主が宅建業者ではないとき
 宅建業者は、瑕疵担保責任が目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法に定める責任と比べて買主に不利な特約を締結することができません(宅建業法40条1項)。これに違反する特約は無効です(同条2項)。
(2)買主も宅建業者であるとき
宅建業者同士の売買契約には、宅建業法40条1項の適用はありません(同法78条)。売主が瑕疵担保責任を負わないこととする特約も可能です。
(3)買主が商人であるとき
 商人間の売買に関しては、買主が目的物を受け取りたるときは遅滞なくこれを検査しなければならず、瑕疵を発見しながら直ちに通知をしないときは、損害賠償等の請求をすることができなくなるとして、買主に検査・通知の義務が定められています(商法526条)。宅建業者は商人であり、不動産の売買についても商法の定めが適用になりますので、特約がない限り、買主には商法の検査・通知の義務があります(東京地裁平成4年10月28日判決)。
2.売主が宅建業者以外の事業者である場合
(1)買主が事業者であるとき
 事業者には、株式会社のように商人である場合と営利を目的としないNPO法人のように商人ではない場合とがありますが、売主と買主がいずれも商人のときは、商人間の売買ですから、特約がない限り、商法526条による検査・通知義務があります。
 売主が宅建業者でなく、宅建業法の制約は受けないところから、瑕疵担保責任に関する特約は自由です。
(2)買主が消費者であるとき
 売主が事業者、買主が消費者なので、消費者契約法の適用があります。
 消費者契約法は、消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する特約を無効としており、原則的に瑕疵担保責任の全部を免除することはできません(消費者契約法8条1項5号)。ただし例外的に、瑕疵のない物をもってこれに代える責任又は瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合等には、損害賠償を免除する特約も効力が認められます(同条2項)。すなわち特約により、瑕疵修補義務等を定めておけば、損害賠償義務を免除することが可能となるわけです。
 また同法には「民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする」との定めもあります(同法10条)。責任の全部免除するのではなく、一部免除の場合であっても消費者の利益を一方的に害するものとして無効とされる場合もあることになります。
3.売主が事業者でない場合
 売主の責任は、民法の原則に従います。瑕疵担保責任を制限する特約を定めることもできます。ただし、売主が消費者、買主が事業者の場合には、買主の側が事業者であることに基づく消費者契約法の適用があることにも留意が必要です。

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

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