法律・税務・賃貸Q&A

アンケート調査で入居者(入居希望者)のニーズを収集

今井 基次
オーナーズエージェント株式会社 コンサルティング事業部部長

質問

繁忙期になると入居・退去する数が通常期の倍以上になります。退去理由を聞くと、事前に解決をしていれば、退去にならなかっただろうと思われることがあることに気づきました。既存入居者や入居希望者が何を望んでいるのかを知るためには、どのような方法があるのでしょうか。

月刊不動産2020年01月号掲載
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回答

回答

 入居希望者が部屋探しの過程で何を重視しているのか。入居者が現在住んでいる共同住宅で何を感じているのか。口頭でのヒアリングだけではデータとして役に立つものになりにくいため、ウェブのアンケート機能を活用して、できるだけ多くの意見を集めましょう。空室対策やリーシング戦略に非常に有効です。

1. 顧客満足度につながる消費者行動の集計

 繁忙期となると入居・退去が増 え、日常の業務量も通常期よりもはるかに増えて忙しくなる。入居・退去に伴って顧客のニーズやそれらに付随するデータ収集ができれば大きな武器になるが、なかなかそこまで人員を割けない。
 本来「部屋探しの過程で、成約に至るまでにどのような経路で探したのか(消費者行動)」「どのような条件や設備を重視したのか」などを集計することが、顧客満足度の向上につながるのだが、実体は営業マンの感覚値しか生かされないため、思うように顧客満足度は上がっていかない。

2. 管理会社は積極的に既存入居者とコンタクトを

 一方で既存入居者に関しても同様だ。入居者の大半は何のトラブルもなく住んでいる人たちで、管理会社はそのような人とほぼ接点がない。ある日いきなり退去の連絡が入り、そこで初めて入居中に「実はこんなニーズがあった」と知ることになる。もっと積極的に管理会社側からコンタクトを取れば、黄色信号の状態で改善して長く住んでくれたかもしれないし、ニーズを拾っていれば入居者の満足度も上げられた可能性がある。

3. ウェブアンケートで顧客の声を拾う

 顧客からの生の声を拾い上げるのには、アンケート調査が最適である。1つ目はウェブを使ったアンケートである(図表)。
 利用するツールはいくつかあるが、「G o o g l e フォーム」というG o o g l e 社が提供している無料のサービスが使い勝手が良い。アンケートの内容は、「選択式」「複数回答」「記述式」など、項目ごとに選ぶことができる。あまりたくさんありすぎては、手間がかかり回答をしてくれないが、おおむね30問くらいの質問が良い。内容をまとめたらU R Lとショートメッセージを添えて、顧客に一斉送信をかける。
 なお、弊社では回答者に500円分のAmazonギフト券を後日進呈しており、発信総数に対して8~10%程度の協力が得られている。

4. 座談会を開催

 もう1つが座談会方式の調査である(写真)。弊社で行っている座談会は、実際に来社してもらい、アンケートの内容をより掘り下げてヒアリングをする。1回につき最大6名で、ファシリテーター(進行役)がついて話を聞いていくが、最初はなかなか本音を言わない人がほとんどだ。場の雰囲気をコントロールして、話をさせるように盛り上げていくのがポイントとなるのだが、結局ファシリテーター次第で、本音を聞き出せるかどうかが決まってくる。

5. データ収集を生かせば空室対策にもつながる

 弊社では、今現在、東北、九州などで調査を行っていて、興味深い結果が出ている。地域によって多少ニーズの傾向は違うが、おおむね入居希望者が求めているものは変わらない。少しだけ紹介すると、例えば、間取り・家賃・場所という部屋探しの3大要素から見るとどれも大事だが、ほとんどの人が「場所」(勤務先や学校へのアクセス)をベースにそれ以外を後から決めていくという回答だった。どんなにデザイン性が良い物件であろうとも、「場所」に当てはまらないとあまり検討できないという声が多かった。
 長期入居者には、「エアコン清掃」「換気扇掃除」「賃料の値下げ」、このあたりが求められている。長期入居者ほどお得意様なのに、賃貸の場合は「長く住んでいる人ほど高い」という現象が起こる。契約はその時に決めたものとはいえ、退去されれば結局賃料も下げて決めなくてはならないため、オーナーにとっても不利になる。2~3千円下がるだけで更新の誘因となるのであれば、空室期間を出さずに賃料を下げたほうが、メリットが高い。
 私自身も過去に、入居して4年経過したアパートで退去しようとしていたところ、貸主側から3千円の値下げの話が出たので、その条件で更新したところ、結果9年半も住んでしまった。ちょっとしたことを改善するだけで、入居者満足度を高めることができるし、それにより優良長期入居者となってもらうことができる。
 データ収集しやすい繁忙期だからこそ、ニーズをしっかりと拾い上げ、空室対策やリーシング戦略に生かしていきたい。

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

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