税務相談

月刊不動産2006年10月号掲載

相続・贈与時の借地権等の評価(3)

代表社員 税理士 玉越 賢治(税理士法人 タクトコンサルティング)


Q

相当の地代の授受がなされている借地権及び貸宅地の相続・贈与時の評価を教えてください。

A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

  • 1.相当の地代を支払っている場合の借地権の評価

     相当の地代を支払っている場合の借地権の評価は、権利金の支払等がない場合と一部権利金の支払等がある場合とに分かれます。

    (1) 権利金の支払等がない場合

     借地権の設定に際して通常権利金授受の取引慣行のある地域において、権利金の授受に代えて相当の地代を支払っている場合の相続・贈与時の借地権の評価はゼロとして取り扱われます。

    (2) 一部権利金の支払等がある場合

     借地権の設定に際して通常権利金授受の取引慣行のある地域において、一部権利金の支払等がある場合の相続・贈与時の借地権の評価は、実際の支払地代を基に「相当の地代に満たない地代を支払って土地の借受けがあった場合」に定める算式に準じて計算した価額になります。

     

    2.相当の地代を収受している場合の貸宅地の評価

     相当の地代を収受している場合の貸宅地の評価は、権利金の収受等がない場合と一部権利金の収受等がある場合とに分かれます。

    (1) 権利金の収受等がない場合

     貸宅地の評価は、原則として、自用地価額から借地権価額を控除して求めます。

     したがって、権利金の授受がなく相当の地代を支払っている場合の借地権の評価は、上記1.(1)で述べたとおりゼロですから、権利金の収受がなく相当の地代を収受している貸宅地の評価は自用地価額であるべきです。

     しかし、実際に建物が立っており利用制限があること、及び借地権慣行のない地域における貸宅地の評価は自用地価額から20%控除して評価していることとのバランスを考慮して、自用地価額の80%相当額で評価します。

     なお、当該借地権者が、被相続人が同族関係者になっている同族会社である場合は、当該同族会社の株式評価額計算における純資産価額の計算上、その20%相当額を加算します。

    (2) 一部権利金の収受等がある場合

     借地権の設定に際して通常権利金授受の取引慣行のある地域において、一部権利金の収受等がある場合の相続・贈与時の貸宅地の評価額は、自用地価額から前記1.(2)の価額を控除した金額になります。

     ただし、これにより計算した貸宅地の評価額が自用地価額の80%相当額を超えるときは、自用地価額の80%相当額で評価します。

     

     なお、当該借地権者が、被相続人が同族関係者になっている同族会社である場合は、当該同族会社の株式評価額計算における純資産価額の計算上、自用地価額からその借地権価額を控除した金額を加算します。

    3.相当の地代に満たない地代を支払っている場合の借地権の評価

     借地権が設定されている土地について、通常地代<支払地代<相当の地代である場合の借地権の評価は、上記1.(2)の算式で評価します。

    4.相当の地代に満たない地代を収受している場合の貸宅地の評価

     借地権が設定されている土地について、通常地代<支払地代<相当の地代である場合の貸宅地の評価は、自用地評価額から上記3.により計算した借地権価額を控除して評価します。

     ただし、これにより計算した貸宅地評価額が自用地価額の80%相当額を超える場合には、自用地評価額の80%相当額で評価します。

     

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