不動産業者のためのコンプライアンス

 第6回   コンプライアンスと危機管理経営<その5>

今回は、民事的制裁と自律的制裁についてお話しします。

【3】民事的制裁

3つ目は、民事的制裁、すなわち被害者(関係者)・株主等による民事責任の追及(損害賠償、被害回復など)という形で制裁を科すものです。
これには3 つあります。

image (1) 被害者等による制裁
その1つは、被害者等による制裁です。

ア 不正行為・重大ミスに対する損害賠償
民法の不法行為の規定により、企業やその役員・社員等による不正行為や重大ミスの結果として、その行為により損害を被った被害者・関係者からの損害賠償請求が提起されるという形で科せられる制裁です。
企業の役員・社員等が起こしたコンプライアンス違反が業務に関したものであれば、使用者責任が問われることになりますから、企業に科せられる重要な制裁の一つといえます。 なお、被害者等は、必ずしも個人とは限りません。コンプライアンス違反企業との契約により業績悪化の影響を受け多大な損失を被った取引先等のステークホルダーから損害賠償を求められるおそれもあります。

【4】自律的制裁

4つ目は、自律的制裁、すなわち企業内部の制裁(社内処分及び各種措置)の実行です。
刑事的制裁、行政的制裁及び民事的制裁は、後述する社会的制裁を含めてすべて言わば他律的な制裁ですが、自律的制裁は、不正行為や重大ミスを起こした企業自体や役員・社員等が自らに対して科すものです。
自律的制裁については、3つほど説明しておきます。

(1) 懲戒処分の実施
その1つは、懲戒処分の実施です。
社員等に対して企業があらかじめ定めている従業員勤務規程等に基づいて懲戒免職、停職、降格、減給、戒告等の処分を行うものや、経営責任を追及された役員に対して辞任勧告・要請、報酬返上・減額等の処分を行うものがあります。

(2) 各種活動の自粛
その2つは、各種活動の自粛です。
不正行為や重大ミスを起こした社員等やその管理責任・監督責任のある経営陣・幹部が自宅謹慎し、対外的な活動(例えば、出版記念パーティー、会食・懇親会等)、社内行事(ゴルフ・ボウリング大会等レクリエーション、社員旅行等)、一般社交活動などを自粛する行為です。
JR福知山線事故の事例に再度言及するまでもなく、企業倫理の確立は重要な課題です。

(3) 再発防止策の策定
なお、ここで再発防止策の策定について触れておきます。
再発防止策の策定は、厳密に言えば、自律的制裁ではありません。
しかし、不正行為や重大ミスを起こした企業が再発防止策を策定するのは、二度と不正行為等を起こさないという企業の新たな姿勢や決意を表明するためのものであり、コンプライアンス経営(企業倫理確立)の観点からも企業に課せられた義務です。したがって自律的制裁と一体的なものとして捉えられるべきだと考えます。

次回は、社会的制裁についてお話ししましょう。

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