不動産業者のためのコンプライアンス

 第4回   コンプライアンスと危機管理経営<その3>

今回から何回かに分けて、4つの類型のコンプライアンス違反に対する5つの制裁についてお話しします。

コンプライアンス違反への5つの制裁

いうまでもなく、私たちは、社会の一員としてルール違反をした場合、制裁(様々な処罰・処分)を科せられます。同様に、企業も社会的存在として、ルールに違反すれば、企業自体やその構成員(役員・社員等)に対する制裁が待ち構えています。コンプライアンス経営が行われず、その結果、企業に被害・損失が発生した場合には、その内容いかんによっては企業及びその役員・社員等に対して、制裁が科せられるおそれが出てきます。

それは、具体的にはどのような制裁でしょうか。私は、制裁には5 つの種類があると考えます。すなわち、民事的制裁、刑事的制裁、行政的制裁、自律的制裁及び社会的制裁の5 つです。

前回お話しした4 つの類型のコンプライアンス違反のうち、重大事件や重大事故のケースでは、その内容にもよりますが、制裁という観点で問題とされる可能性が比較的高いと思われます。もちろん、重大事件、重大事故が発生したからといって、5 つの制裁が、すべて科せられるとは限りません。コンプライアンス違反は、一つ一つ異なった“ 個性” を持っているからです。

一方、4 つの類型のコンプライアンス違反のうち、自然災害や広域感染症のケースでは、5 つの制裁が科せられる可能性は一般的には低いとみられます。しかし、例えば法令で求められている耐震化措置を怠った結果、被害が発生した(いわば「人災」)ケース、政府が感染拡大防止のために勧告した措置を無視し被害が拡大したケースなどでは、企業の責任が問われるおそれがあることに留意しなければなりません。コンプライアンス(法令遵守及び企業倫理確立)の重要性がここにあるのです。

【1】刑事的制裁

1つ目は、刑事的制裁、すなわち国家(司法機関)による刑事責任の追及という形で制裁を科すものです。
刑事的制裁は、国家により刑罰を適用する形で実施されますが、主として不正行為や重大ミスを犯した企業の役員・社員等やその企業自体に対して、裁判所が刑事責任の有無を判断して量刑を科すことになります。

刑事的制裁は大きく2 つに分けられます。

(1) 役員・社員等(個人)に対する制裁
その1つは、企業の構成員たる個人(役員・社員等)に対する処罰で、自由刑(懲役・禁錮)や財産刑(罰金・科料・没収)という形で制裁が科せられます。
意図的に不正行為を起こした個人に対しては、それぞれの法令に従って制裁(処罰)を受けますが、重大ミスを起こした個人に対しては、業務上過失罪が適用されるケースが多いようです。

(2) 企業(法人)自体に対する制裁
もう1つは、企業自体に対する処罰で、財産刑(罰金・没収)という形で制裁が科せられます。その金額は、近年、高額化の傾向にあります。

次回は、行政的制裁についてお話ししましょう。

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