不動産業者のためのコンプライアンス

 第15回   コンプライアンスと危機管理経営

今回は、(5)社会的評価への対処について、②からお話を進めます。

②一般消費者・主要顧客・取引先等への対応を考えること
ア. 懲戒処分の実施
マスメディアによる報道の結果、一般消費者、主要顧客等は、コンプライアンス違反を起こした企業が提供する製品やサービスに対し、その消費行動を控える場合があります。最悪のケースは、不買運動に発展するおそれさえあるのです。
他方、取引先からは、原材料・半製品等の供給をストップされるという行動も出てくるおそれがあります。仕入れができないという状況に至ったり、不動産関連の物件情報の共有網を断たれるという措置が行われることさえあり得ます。金融機関からの融資までも遮断され、事業継続が困難に陥ることとなる事態を想定し、平素において対応を考えておくことが肝要です。
これらは、企業活動の根幹を揺るがすような重大事態であり、一般消費者・主要顧客・取引先等から、そうした反応が出てくる前に、直ちに先行対策を実施することが必要となります。

すなわち、企業としての“マーケット戦略”の緊急修正と新たな戦略の展開です。業績を下方修正するとともに、企業の提供する製品・サービスの徹底的な改善、価格の再検討、流通網の再構築、“安全・安心”戦略を前面に出したプロモーション活動の展開などが必要でしょう。
と同時に、トップセールス活動として、企業の最高責任者が“お詫び行脚”を行うなどの具体的行動も求められます。

③業界等による制裁対応を考えること
コンプライアンス違反を起こした企業に対しては、その企業が所属する業界団体、事業協同組合等が当該企業に対して評価を下し、団体規則等に基づき制裁を課す場合もあり、その対応を平素から考えておくことが肝要です。 これは、いわば業界等という、限定された「社会(世間)」の評価・制裁なのです。 ここで留意すべき点は、その処分内容と処分の公表についてです。

ア. 処分内容
コンプライアンス違反を起こした企業が属する業界団体等が一般的に科す制裁としては、除名処分、役職剥奪・降格、会員活動停止、制裁金の請求などが想定されます。
これらは、業界団体等の規則、規定等に基づいて行われるものですから、あらかじめそれらを入手しておくことも必要でしょう。

イ. 処分の公表
処分内容は、業界団体等が自浄作用を保持していることを対外的に明示するためにも、公表することが通例です。
こうした制裁は、事業継続に当たっては、刑事的制裁、行政的制裁、民事的制裁と併せて、当該企業にとって大きな打撃となることを念頭に、次善の策を考えておくことが肝要です。

④風評被害の対策を考えること
インターネットの発達により、発生した事象(事件・事故を含む)に対して今日国民一般が様々な評価(中には、意図的で悪質な誹謗もある)をネット上などで簡易にかつ自由に表現(書き込み)できるまでになり、これがますます顕著になっている現状を、正しく、かつ、厳しく認識しておくことが肝要です。
そこでは、マスメディアや業界団体等のように、コンプライアンス違反の事実関係を公正・中立的立場で捉えるというよりも、匿名による無責任、無秩序かつ恣意的な評価(攻撃)が行われる場合があり、名誉棄損や信用棄損をはじめ、企業自体やその製品・サービスに対する誤ったキャンペーンが展開されるケースも散見され、無視できない事態となっています。

次回は、新たに稿を起こし、コンプライアンス違反への対処の3 つの段階についてお話ししましょう。

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