不動産業者のためのコンプライアンス

 第13回   コンプライアンスと危機管理経営

前回に引き続き、今回も企業内対策についてお話ししていきます。

③責任の所在を調査すること
ア. 懲戒処分の実施
コンプライアンス違反が発生した時に、社内で責任追及をおろそかにすると、従業員に対し誤ったシグナルを送ることになってしまうおそれがあります。つまり、懲戒処分がなければ、「コンプライアンス違反をしても責任は取らされないし、処分されない。辞めさせられることもないのだ」という誤った意識を社内に蔓延させてしまうおそれがあるということです。
このことは、次のコンプライアンス違反を起こす土壌となって、企業を危険な方向に進ませることとなるかもしれないのです。“信賞必罰”という言葉がありますが、企業はこれを実行する必要があります。

イ. 人事刷新
懲戒処分とともに実施されなければならないのは、人事刷新です。これは、懲戒解雇や自主的に退職した従業員を除き、コンプライアンス違反にかかわった担当者に対し、配置転換などの制裁的な人事異動を実施するものです。
また、関係した従業員の上司や管理者、そして担当役員等に対し、監督責任を取らせる意味での人事異動の実施も必要になってくる場合があります。

④各種活動の自粛
コンプライアンス違反を行った企業は、その事案の社会的影響度が高ければ高いほど、企業として襟を正す意味で法人としての対外活動を自粛することも考えるべきです。これは義務ではありませんが、企業倫理を確立しようとする企業にとって、当然の自発的行為です。
例えば、企業の○○周年記念行事やお客様感謝祭、社員旅行、社内レクリエーション等の開催、また業界の公式行事や町内会など外部イベントへの参加は自粛せざるを得ないのではないでしょうか。
さらに、企業としてでなくとも、その代表者や役員の誕生パーティ、出版記念パーティ等の開催は中止・延期すべきでしょう。
もちろん、役員や従業員が、世間の非難を、どこ吹く風とばかりに、夜な夜な飲み歩くがごとき行動は無神経と言わざるを得ません。そのことが、事案に対する自覚が欠如していると更なる批判を呼ぶおそれがあります。

⑤役員・従業員等のメンタルケアを忘れないこと
コンプライアンス違反が発生してお客様や取引先企業に多大な迷惑をかけるような事態に陥ると、その事後対処に追われた従業員や役員は、心身ともに大変なストレスを抱えるのではないでしょうか。つまり、ケガをして肉体に傷跡が残るように、経験したことのないような大きな精神的負担は心の傷として深く残るということを理解し、こうした関係者に対する配慮が必要となってくるのです。場合によっては、PTSD(心的外傷後ストレス障害)も考慮し、医師や臨床心理士との連携も必要となってきます。

次回は、この責任問題をさらに展開し、マスコミ等への対応にも触れていきましょう。

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